12.慣れない料理で指を切る
「今日は俺が作ってやる」
「・・・・・はい?」
えと、確認すべきことは作るってのは料理。
この時間だと夕飯ってことになるのかな。
ツナは部屋の時計を確認しながらそんなことを思った。
「もう5年かー・・・・・」
自分とザンザスがひとつ屋根の下で過ごし始めてから経った年数。
ひとつ屋根の下、と言っても2人共殆ど本部の屋敷暮らしである為、本部から少し離れたところにあるこの家に来るのは久し振りだ。
安全がどうのこうのと嵐の守護者と向こうの剣士が何か言っていたような気もするが、なんせ自分らは最強のファミリーのNO.1とNO.2。
圧縮粒子砲も効かない彼ら2人を、誰がどう殺すと言うのだろう。
「・・・・何作るのかな、ザンザス」
ソファーに身を沈めながらツナは呟いた。
大抵2人で食事する時は外食か屋敷のコック達が作ったものだが、この家に来る時は自分達で作る。
否、自分達という言い方にも語弊があるだろう。
単刀直入に言うと、ツナが1人で頑張っているワケだ。
「・・・・・・・」
いつもザンザスはソファーで寝そべるか、本を読むか。
それだからか、彼が作ると言った時は少なからず嬉しかった。
「ここからだとキッチンが見えないんだよな〜」
まぁ、ビアンキみたいに特異体質とかじゃないみたいだし。
ザンザスが作るものなら何でも食べるけど。
「・・・・・・ん?」
「ザンザス〜?そういえばお前って料理作ったこと、」
直後、キッチンから響く鋭い音。
あ〜・・・・あれは包丁の落ちた音かな?
「やれやれ・・・・」
溜息を吐くと、俺は救急箱を片手にザンザスの元へ駆け寄った。
Thank you for reading.
written by skylark 08.2.29.